2012年05月21日

鳥久保咲人『Preserved flower(プリザーブド フラワー)』感想

『Preserved flower(プリザーブド フラワー)』
著者:鳥久保咲人
サークル名:Lumiere
発行日:2011年5月5日
第十四回文学フリマで購入

カミサマと呼ばれる少女。

剃刀で自身を傷つけ特別であろうとする少年。

★★★★★★★★★★

特別でありながらその聖性に穢れゆく少女。

凡人でありながら特別であろうと足掻く、少年。

★★★★★★★★★★

二人は出会い、忌み子のように、触れ合う。

ぎこちなく、躊躇わず。

★★★★★★★★★★

憧れた憧憬は血で汚(けが)れた。

もうその目に宿す華はない。

★★★★★★★★★★

花は枯れるから華だ。

枯れない花は、人々から忘れ去られるだけ。

★★★★★★★★★★

情念のように、怨念のように、疼く傷口。

滴る血。それすらも少女には届かない?

★★★★★★★★★★
posted by 桜井夕也 at 21:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 文学フリマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『絶対移動中 vol.11 「リアクション」』感想

『絶対移動中 vol.11 「リアクション」』
編集:伊藤鳥子
サークル名:絶対移動中
発行日:2011年5月6日
第十四回文学フリマで購入

「文学フリマで頒布された作品からインスパイアされた作品(リアクション)」集。

有村行人
『マンデリン、または孤独のカフェ』
一番最初に収録されたこの作品を読んで一気に引き込まれました。
都内の数々の喫茶店を舞台に、「一人になれる場としてコーヒーを飲む店」を廻るようになった男の物語。
実際に行ったことのある喫茶店もあってニヤリとしました。
最後の早稲田の喫茶店は実在しないようですが、本当にあるような気がして、懐かしい想いとともに爽やかな読後感をもたらしてくれました。

若葉幹人
『理想の個室』
建築同人誌からリアクションした作品。
建築に関わる仕事をしているので、主人公の情熱はわかります(笑)
建築、いいですよね。

霜月みつか
『誰があの子を殺したの』
小説、というよりはシナリオのような作品。
同じ電車に居合わせた、年齢も職業もバラバラの5人の男女。
数奇な巡り合わせでドラマチック。
この伏線がこう来るかーと唸りました。

志方尊志
『議論好きの音楽家達――有村行人「小さな肩を震わせて」のポリフォニー』
有村行人「小さな肩を震わせて」に関する、ポリフォニー(多声性)の観点からの批評。
ポリフォニー。。(; ̄ー ̄川
全く知らない概念でしたが、なるほどーと納得。
読後、元作品を読みたいなーと思いました。

三糸ひかり
『認識、解釈、反応、行動』
解釈は人それぞれ。
歴史は解釈である、というのは、現象学を元に歴史はそれぞれの人が主観で選び取った物語に過ぎない、とする野家啓一の歴史の物語理論と通ずるものがあるのではないでしょうか。

宵町めめ
『丘の上のホテル』
本物なのか、幻想なのか、ふわりとした不思議な物語。

高橋百三
『あさやけの彼女』
DOLL=人形の補修人の主人公は「彼女」と出会って自らの作品を……。
非現実めいて、それでいてフェティッシュな小説。

秋山真琴
『宵闇通事件』
半側空間無視を題材にした探偵ミステリ。
随所に仕掛けが施されてあって、読者を飽きさせることがありません。
事件も、事件の解決も、終幕も、半側空間無視を最大限に生かていて、読後興奮しました。
面白かったです!

蜜蜂いづる
『発光』
読み進めるうちに「セックス、ドラッグ、ロックンロール」のお話なのかなーと思っていましたが……。
今の自分、昔の自分を交互に描くスタイルで、昔の無軌道な自分、今の冴えない自分を際立たせています。
単なる「セックス、ドラッグ、ロックンロール」ではなく、最後の、自分に向けた叱咤の声、そして希望が心に残りました。

伊藤鳥子
『はみだした人たちの宴』
社会を「はみだした」人たちのひと時の、邂逅。
はみだし者達の鬱屈と葛藤と不安がすごく分かります。
宴はいつまでも続くものではなく……。
寂しさと同時に力強さが最後に残りました。
posted by 桜井夕也 at 21:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 文学フリマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

くまっこ『怪獣散歩』感想

『怪獣散歩』
著者:くまっこ
サークル名:象印社
発行日:2010年12月5日
第十四回文学フリマで購入

表紙は星空をバックに気持ちよさげに散歩している怪獣の可愛らしいイラストです。

「花のうた」「ほしのこ絵本」「箱庭」「魔女と怪獣」の4編が収録されています。

「花のうた」の悲しげなイントロから。

「ほしのこ絵本」の絵本チックな、心がほっこりするストーリー。

「箱庭」のお菓子でできた箱庭の不思議なお話。

そして「魔女と怪獣」――。

自分の持つ力で愛する人すら傷つけてしまいそうになる魔女と怪獣の「家族」。
友だちを傷つけまいとする怪獣の真摯さが胸を打つ童話のようなお話でした。
posted by 桜井夕也 at 21:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 文学フリマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

くまっこ『クマの豆本製造ライン くまっこオリジナルレシピシリーズ3』感想

『クマの豆本製造ライン くまっこオリジナルレシピシリーズ3』
著者:くまっこ
サークル名:象印社
発行日:2011年5月5日
第十四回文学フリマで購入

くまっこさんによる、自分で本を手作りする方法の紹介。

それ自体がファンシーでかわいらしくてこだわっている、絵本のようなご本です。
表紙が透明な用紙で、かわいらしい、くまがベルトコンベアで本を製造しているイラストが印刷してあり、おおー、なんじゃこりゃーかわいいー!と萌えてしまいましたですよ。

中身はご自身の本を例に基本的な平綴じや中綴じの方法、応用編の様々な素材の本の作り方が書かれています。

ふむふむ、これは参考になる。。(`・ω・´)
メルヘンなくまっこさんの装丁はこうやって作られていたのですね。。(´ヮ`)
この本自体がくまっこさんの愛情のたっぷりさを感じられて温かい気持ちになりました♪

何度も読み返して本を自作する際の参考にさせていただきます♪( ´▽`)
posted by 桜井夕也 at 21:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 文学フリマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年05月16日

日野裕太郎『水影に赤をきく』感想

『水影に赤をきく』
日野裕太郎
サークル名:下町飲酒会 駄文支部
2011/05/05 コミティア100発行
第十四回文学フリマで購入

『水影に赤をきく』と『見えない手と手をつないできみと』の二編収録。

『水影に赤をきく』
男は姉のせいで全てを失った。
閉鎖的なムラでは男の家族は唾棄され、追い詰められ、追い込まれる。
姉への怒りを抱えながら、一方で思慕を捨てられないでいる。
家族を守るため、無表情に殺戮を繰り返す男の目の前に現れた……恋人達。

「それでも……幸せになれると思っているのか」

男が恋人達に見たのは希望なのか。それとも家族の長として強いられた諦念なのか。

俺が信じたいのは希望。


『見えない手と手をつないできみと』
洪水によってムラを、故郷を、両親を失った少年。
姉妹とともに取り残された兄弟たちは、生きるために諦めることを知った。
諦め、諦め、諦めて、そこに何が残る?
成長した少年の前に現れた懐かしい匂い。
その意味に戸惑い、目を背け、だが忘れられぬ想い。
出会った希望に、清涼な読後感を感じた。
posted by 桜井夕也 at 21:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 文学フリマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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