2012年05月21日

『絶対移動中 vol.11 「リアクション」』感想

『絶対移動中 vol.11 「リアクション」』
編集:伊藤鳥子
サークル名:絶対移動中
発行日:2011年5月6日
第十四回文学フリマで購入

「文学フリマで頒布された作品からインスパイアされた作品(リアクション)」集。

有村行人
『マンデリン、または孤独のカフェ』
一番最初に収録されたこの作品を読んで一気に引き込まれました。
都内の数々の喫茶店を舞台に、「一人になれる場としてコーヒーを飲む店」を廻るようになった男の物語。
実際に行ったことのある喫茶店もあってニヤリとしました。
最後の早稲田の喫茶店は実在しないようですが、本当にあるような気がして、懐かしい想いとともに爽やかな読後感をもたらしてくれました。

若葉幹人
『理想の個室』
建築同人誌からリアクションした作品。
建築に関わる仕事をしているので、主人公の情熱はわかります(笑)
建築、いいですよね。

霜月みつか
『誰があの子を殺したの』
小説、というよりはシナリオのような作品。
同じ電車に居合わせた、年齢も職業もバラバラの5人の男女。
数奇な巡り合わせでドラマチック。
この伏線がこう来るかーと唸りました。

志方尊志
『議論好きの音楽家達――有村行人「小さな肩を震わせて」のポリフォニー』
有村行人「小さな肩を震わせて」に関する、ポリフォニー(多声性)の観点からの批評。
ポリフォニー。。(; ̄ー ̄川
全く知らない概念でしたが、なるほどーと納得。
読後、元作品を読みたいなーと思いました。

三糸ひかり
『認識、解釈、反応、行動』
解釈は人それぞれ。
歴史は解釈である、というのは、現象学を元に歴史はそれぞれの人が主観で選び取った物語に過ぎない、とする野家啓一の歴史の物語理論と通ずるものがあるのではないでしょうか。

宵町めめ
『丘の上のホテル』
本物なのか、幻想なのか、ふわりとした不思議な物語。

高橋百三
『あさやけの彼女』
DOLL=人形の補修人の主人公は「彼女」と出会って自らの作品を……。
非現実めいて、それでいてフェティッシュな小説。

秋山真琴
『宵闇通事件』
半側空間無視を題材にした探偵ミステリ。
随所に仕掛けが施されてあって、読者を飽きさせることがありません。
事件も、事件の解決も、終幕も、半側空間無視を最大限に生かていて、読後興奮しました。
面白かったです!

蜜蜂いづる
『発光』
読み進めるうちに「セックス、ドラッグ、ロックンロール」のお話なのかなーと思っていましたが……。
今の自分、昔の自分を交互に描くスタイルで、昔の無軌道な自分、今の冴えない自分を際立たせています。
単なる「セックス、ドラッグ、ロックンロール」ではなく、最後の、自分に向けた叱咤の声、そして希望が心に残りました。

伊藤鳥子
『はみだした人たちの宴』
社会を「はみだした」人たちのひと時の、邂逅。
はみだし者達の鬱屈と葛藤と不安がすごく分かります。
宴はいつまでも続くものではなく……。
寂しさと同時に力強さが最後に残りました。
posted by 桜井夕也 at 21:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 文学フリマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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